クワガタの羽化不全は何が原因で起こるのか?羽化不全を減らす方法とは?

クワガタの羽化不全はなぜ起きるのか

クワガタをブリードしていて、最も理不尽な出来事が羽化不全です。
一年以上も時間をかけて幼虫を大きく育て上げ、無事蛹になっても、
羽化できずに死んでしまったときの悲しみは想像を絶するものです。

死んでしまわずとも、羽パカだったりすると、見栄えが悪くなるばかりか、
寿命が確実に短くなります。

そのため、なるべく羽化不全にならないように育てたいものですが、原因がはっきりしておらず、長い間防止策が
ありませんでした。羽化できなかった個体は泣く泣く諦めるしかなかったのですが、
現在のブリード技術の進歩によって、次第に解明されつつあります。

そのため、トップブリーダーの中には、飼育個体のほとんどを完品で羽化させる人も現れ始めているようです。
ここでは、そんな羽化不全の原因と対策についてつづっていきたいと思います。

羽化不全の原因

羽化不全の原因について列挙していきます。羽化不全は大型のオスに起こりやすく、ギネスを狙えるような体重の幼虫のほとんどは
無事に羽化することができません。
そのため、大型のオスを作出しようとしている人にとって、羽化不全とは切っても切れない関係にあるのです。
羽化不全の原因はいくつもあるとされ、このうちの一つの条件、または複数が重なり合うことで発症するとされています。

ここでは、代表的なものをいくつか紹介します。

遺伝

羽化不全の大きな原因の一つに遺伝が挙げられます。現に、大型血統でも羽化不全を起こしやすい血筋と、全く起こさない血筋があるようです。
サイズばかりを求めて交配を続けた結果、正常に羽化できる個体の方が少ない血統も存在するほどです。

特に、一昔前に一世を風靡した極太個体はかなり羽化不全を起こす確率が高いとされています。主に阿古谷産などの名称で
流通している個体のほとんどが、極太個体のほとんどが羽化不全といっても良く、ディンプルがひどく、羽がデコボコに歪んでいます。
まあ、これらの個体に羽化不全が多い原因は、他に考えられるのですが…

とにかく、極太個体に代表されるように、羽化不全を起こした個体同士を掛け合わせると、高確率で子供も遺伝するとされています。
ただ、後述するように羽化不全は先天的な要因だけでなく、後天的な要因でも起こりえます。

ただ、どんなに環境が悪くとも、ちゃんと羽化する個体はいるので、やはり遺伝的な弱さというものも関係してくることは否めません。
ですから、どんなに大型の親虫が産まれ、いくら気に入っていたとしても、羽化不全が少しでもあれば、ブリードに使用しないという人もいるほどです。

中には、わざと高添加で菌糸の力が強い菌糸ビンに投入し、虚弱な個体を淘汰してしまう人もいます。

菌糸ビン

菌糸ビンの中は、蛹にとって非常に劣悪な環境です。菌糸は生きているため、温度が上がりやすく、酸欠になりやすいです。
また、湿度も極めて高く、高温などが原因で菌糸が劣化すると、ぐちゃぐちゃに腐敗してしまいます。
この高温多湿の状態は蛹や前蛹にとって非常に悪影響を及ぼします。

そのため、蛹になったのに気付かずに、うっかり腐敗させてしまうと、まともに羽化できないこともしばしばあります。
菌糸ビンは幼虫を大きくするのには好都合な環境なのですが、蛹にとっては非常に劣悪な環境であることは間違いないでしょう。
ですから、蛹になった段階で菌糸ビンから取り出し、人工蛹室を使う人がほとんどです。

実際、大型の個体に関しては、人工蛹室のほうが完品で羽化できる可能性は高いようです。

幼虫の大型化

さらに、幼虫の大型化も、羽化不全を引き起こす大きな原因の一つです。昔から、極めて体重の重い幼虫は、羽化不全どころか
蛹化する前に死んでしまうというのはよく言われていたことです。どうやら、オオクワガタなどの種類においては、
あまりにも大きくなりすぎた幼虫は、無事に羽化することができないようなのです。

スポンサーリンク

現在オオクワガタの最大体長は90ミリに達しており、野外ギネスの76ミリを大きく上回っています。
80ミリ代後半のオオクワガタの幼虫は、体重も非常に重くなり、40グラムを軽く超えます。
このようなサイズの幼虫は、自然界では絶対に存在できない、主としての限界を超えた数値です。
しかも、これらの幼虫がここまで大きくなったのは、温度などを変えることで、人工的に幼虫の期間を長くした結果です。
人間に例えるなら、人工的に子供でいる時間を長くして、ご飯を無理やり食べさせて身長を伸ばしているのと同じです。

そのため、ほとんどの幼虫は耐え切れず、大型のオスにおける羽化不全の確率はかなり高くなります。
ですから、確実に羽化させたいのなら、あまり大きくさせないようにする方がよいでしょう。

雑菌

クワガタの羽化不全については、蛹室内の雑菌が原因だとする説もあります。とあるトップブリーダーの方が、
菌糸ビンの中の雑菌の数を測定した結果、羽化不全を起こしたビンは、そうでないビンに比べて、雑菌の数が多かったそうです。
そのため、つねに清潔な環境でブリーディングし、菌糸ビンを詰める際は必ず消毒することを心掛けるようにしてください。
また、菌床産卵ではなく、産卵木を使って繁殖させるのも、雑菌を減らす有用な手段であることが分かっています。
なぜなら、産卵木にはカビや雑菌を抑制する成分が含まれているからです。ですが、菌床にはその成分が含まれておらず
(菌糸ビンに青カビが生えやすいことからもわかりますね)結果として菌糸ビンの中に雑菌が入り込み、羽化不全の遠因となる
可能性があるそうです。
そのため、産卵木を用いた繁殖は、羽化不全防止に一定の効果がある可能性があります。

外部からの刺激

羽化不全が起きる原因として、一番最初に思いつくのが外部からの刺激です。しかし、イメージとは裏腹に、クワガタの蛹は意外と刺激には強いです。
もちろん前蛹や蛹を手で触ったりしては絶対にいけませんが、毎日ビン越しに眺めたりする程度では、羽化不全を起こす確率は低いです。

もしそんなに刺激に弱いのなら、人工蛹室に移し替えた時点で死んでしまいますが、そうではありません。
しかし、先述の通り、蛹や前蛹は雑菌に非常に弱いため、取り扱いには極めて注意が必要です。

それに、もちろんなるべく刺激を与えないようにするのにこしたことはありません。昔、奈良オオのカタログに、アルミで出来た菌糸ビンのカバーの広告があり、そのカバーを使った場合と、
使っていない場合の比較対象実験の結果が掲載されていました。

その広告によると、使った場合は、そうでない場合に比べて、10%ほど幼虫時の死亡率や、羽化不全が起きる確率が下がったそうです。
まあ、商品のPR広告なので鵜呑みには出来ませんが、外部からの刺激も羽化不全の原因となることは事実です。
ですから、なるべく光が当たらない所において、
そっとしておくのが一番です。

羽化不全は将来なくなる?

羽化不全は、大型の個体を狙う限り、避けられないものであると考えられてきました。
ですが、虚弱な個体の淘汰や、菌糸ビン内の雑菌を消毒することによって、将来的には
かなり確率を減らすことができるようになるかもしれません。

特に、大型化させても潰れない血統が作られれば、オオクワガタのサイズアップもかなり拍車がかかります。
現在、このような研究がトップブリーダーたちの間で進んでおり、羽化不全のない血統が開発されるのも
もうすぐかもしれません。

作者:青梅コウ

このブログの監修者

木林 充尚

1980年静岡県生まれ。浜松医科大学卒業後、美容整形外科を中心に、様々な医療現場を渡り歩く。医師時代に培った経験を活かし、医療脱毛、育毛、ダイエット、スキンケアなどの記事監修を手掛ける。現日本医療脱毛安全医科学会理事、発毛先端医療研究会副会長、日本肥満健康医学会名誉会員など。様々な分野で日々研鑽を欠かさない姿は医師の鑑そのものである。



スポンサーリンク
SNSフォローボタン

フォローする

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする