養殖ビジネスは副業で儲かるのか?カエルやミルワーム、クワガタやコオロギなどの養殖の実態について調べてみた

生き物の養殖って儲かるの?

世の中には、胡散臭い儲け話があふれています。

ネットを見ると、簡単な副業で月収50万円!などの、怪しいブログ記事がたくさん掲載されています。中でも私が気になったのは、「カエルの養殖は主婦でも簡単に副業にできる」「ミルワームの養殖をしていたらアルバイトの収入を超えた」
「ヤフオクでクワガタを売ってお小遣いを稼いでいる」
などという、生き物の養殖系のビジネスです。それらの記事を見ると、さも生き物を今まで飼育したことのない初心者でも、簡単にお金儲けができるようなことが書いてありますが、果たして本当なのでしょうか?

結論から言うと、これらの生き物の養殖を、何の知識もない素人が始めた場合、お金を稼ぐのは絶対に不可能です。養殖業とは、知識と経験が要求されるだけでなく、設備投資などに多大なコストがかかります。とても片手間に副業で始められるものではないのです。
ですから、あなたの甘い幻想を打ち砕くため、いろいろな種類の生き物の養殖について、シビアな現実をお知らせしましょう。

副業で簡単に増やせる?養殖すると儲かる生き物の種類

ネット上で、簡単に繁殖可能で、副業にピッタリだと紹介されている生き物を紹介します。
そして、これらを本当に養殖する場合、どのようにしたらうまく繁殖させられるのか、本当のことを書いていきます。

カエル

まず、一番目立つのが、カエルの養殖は副業にピッタリだという記事です。ただ、カエルの養殖と言っても、田んぼに生息している緑色のカエルではありません。
養殖するのはアフリカ原産のカエル「アフリカツメガエル」という種類です。アフリカツメガエルは、魚のように、一生水の中で暮らすカエルです。アフリカツメガエルはアロワナなどの大型魚の餌になっているほか、実験などに用いられるため、確かに需要は高いです。さらに、卵から大人になるまでたったの50日しかかからないので、量産することが可能です。

この部分だけを見ると、たしかに儲かりそうですが、個人がアパートや自宅の部屋で、アフリカツメガエルを大量に養殖するのは絶対に不可能です。なぜなら、ペットショップで実際に見てきたらわかると思いますが、アフリカツメガエルは全長10cm前後の、かなり大型のカエルです。
ですから、こんなに大きなカエルを何百匹も養殖しようと思ったら、とても大きな水槽が何台も必要になります。もちろん、綺麗な水で飼わなければいけないので、頻繁に水替えが必要になりますし、とても片手間で養殖することはできないでしょう。たしかに、軌道に乗れば利益は出てくると思いますが、ビニールハウスなどの設備に投資しなければならないので、まず個人が手を出すのは不可能だと思います。

コオロギ

コオロギも、大型魚やトカゲなどの爬虫類の餌として、大変需要が高い生き物です。これも個人が養殖すると、簡単に何十万円も儲かるそうですが、こんなものを養殖しようとしたら、あなたはすぐに今住んでいる家を追い出されることになります。なぜなら、コオロギは鳴き声がとてもうるさいからです。秋になると、草むらからコオロギの鳴き声が聞こえてきます。これが何百匹も自分の部屋にいるのですから、近所迷惑レベルでは済まされない問題になります。

ですが、こんな心配をしなくても、コオロギは意外とデリケートなので、ほとんどの人が卵すら産ませられないまま死なせてしまうでしょう。コオロギは糞の量が多く、ケースを頻繁に掃除しないと、不潔になってほとんどの個体が死にます。さらにケースのふたを開けた瞬間に、必ず脱走する個体が現れるので、とてもストレスです。また、繁殖形態も変わっていて、土の中に卵を産み付ける習性があるので、なかなか子供を得るのに苦労します。

これらの要素をクリアすることができれば、(田舎の一軒家を借りるなど)あなたのビジネスもうまくいくでしょうが、とりあえず仕事を止めて田舎に引っ越す必要がありそうです。

ミルワーム

ミルワームはゴミムシダマシという甲虫の幼虫で、爬虫類や小鳥の餌として用いられています。ミルワームは養殖が非常に簡単です。フスマやさなぎ粉の中に、ミルワームを放り込んでおけば、勝手に成虫になります。さらに親虫の餌となる、野菜くずなどを入れておけば、勝手に卵を産んで、どんどん増えていきます。それにミルワームは上記の生き物と違って、大きくなりませんし、鳴きません。ですから、ミルワームの養殖なら、素人でも上手くいきそうに思えますね。

しかし、ミルワームは非常に湿気に弱いという性質があります。特に幼虫は、水に濡らしただけで即死してしまいます。ですから、湿気が多いと簡単に全滅してしまいます。ミルワームを安定して供給するためには、空調を完全に整え、こまめに餌を換える必要があります。また、蛹になった個体を、他のミルワームが共食いするため、別の場所に移し替える作業が発生します。これらのことを踏まえると、ミルワームなら自宅でも一部屋あればできそうですが、一日中つきっきりになりそうですね。

クワガタ

クワガタは、一時期黒いダイヤモンドなどともてはやされた時期があり、今でも定期的にクワガタの養殖で生活している人がテレビに出てくるほど、儲かる副業としてはお馴染みです。現に、ヤフオクでは一年中、何千匹ものクワガタが出品されています。

クワガタやカブトムシは、大変人気が高い昆虫で、飼育方法もネットで調べればいくらでも出てきますし、飼育機材もとても豊富に販売されています。ですから、素人のあなたでも、自宅の狭いスペースで簡単に繁殖させることが出来ます。

しかし、クワガタの繁殖の最大の問題は、大きい個体しか、値段がつかないということです。一昔前は、80ミリのオオクワガタは、一匹で一千万円の価値があると言われていました。実際、その頃の飼育技術では、70ミリを超えることは難しく、75ミリ以上のクワガタは高額で取引されていた時代があったのは確かです。

しかし、今では技術が大幅に進歩し、ギネスサイズ(世の中で一番大きな個体)は88ミリを突破。今や野生のオオクワガタでは絶対にありえない、90ミリに迫る勢いです。素人でもコツさえつかめば、簡単に80ミリのオオクワガタを作れる時代になっているのです。この技術の進歩のせいで、一昔前なら、75ミリオーバーで数万円以上の価値があったのに、今では80ミリオーバーでやっと2万円前後です。

さらに、血統書付きのオオクワガタ(?)が、登場し、それ以外のクワガタの価値も暴落しています。オオクワガタの世界では、以前にギネスサイズだった個体の子孫など、育てると大きくなりやすい性質をもつ血統に価値があるとされています。ヤフオクを見ればわかりますが、高額で取引されているのは、この大型血統の個体ばかりで、それ以外の個体は、同じ大きさでもほとんど値段がつかないのが現実なのです。

それに、いくら技術が進歩したからと言って、80ミリオーバーの個体を作るのは、温度管理や特別な餌などコストがかかります。さらにこれらの手間をかけても、すべての個体が大きくなるわけではないため、結局売れるのは一部だけです。ですから、よほど飼育が上手な人でも、ヤフオクで利益を出すことは難しいと思います。
ただ、血統書付きのクワガタなら別で、それらの生みの親たちは、信者に高値で幼虫を売りつけ、、大金を得ている者もいます。ですから、これらの血統ビジネスに今から参入できるほど、クワガタに詳しく業界にコネのある人物ならば、十分に成功できると思います。

あとは、外国産のクワガタ(タランドゥスオオツヤクワガタなど)でも高価で取引されているものもあるため、そちらを養殖してみるのもいいかもしれません。ただ、高値で取引されているということは、カンタンには増やしにくいということです。ですから、これらを安定して供給できるようになるためには、何年も経験を積む必要があります。

クワガタの養殖は、10年前まではブームだったこともあり、本当に儲かる副業でした。全国には、趣味の延長線上で開店した、クワガタショップが何軒も存在しました。ですがブームの終焉により、現在は本当に実力のある業者しか儲からなくなっています。

ただ、あなたが本当にクワガタが好きで、真剣に研究したいと思うのなら、まだツメガエルやコオロギの養殖よりは儲かると思います。それに、クワガタは外国産を含めると種類が非常に多いので、全ての需要を業者だけでは対応できません。ヤフオクでしか手に入らない種類もいるため、個人が参入するチャンスは、まだ少しはあると言えます。

カブトムシ

では、カブトムシの場合はどうでしょうか?まず、日本産のカブトムシは飼育が簡単すぎるので、あなたが参入する余地はほとんどないと言っていいでしょう。すでに業者が大量生産に成功しており、夏になると、全国のホームセンターでカブトムシが売られているのを、あなたも見たことがあると思います。ですが、道の駅や国道の前で露店を出して売るなどすれば、お小遣い稼ぎ程度にはなるかもしれません。

それに、カブトムシを養殖するのなら、外国のカブトムシの方が儲かるでしょう。ヘラクレスオオカブトを筆頭に、子供たちにとても人気があり、ヤフオクでも高値で取引されています。飼育自体も日本産のカブトムシと同じなので、実は簡単に増やすことができます。コストもクワガタと違って、専門的な餌を必要としないので、管理も楽だと言えます。

しかし、ヘラクレスなどの外国産カブトは、成虫になるまでに非常に時間がかかります。メスで一年以上、オスで2年程度かかります。まだヘラクレスは成長が早く、ゾウカブトなどの種類は、成虫になるまでに、なんと4年もかかります。

さらに、この長い年月の間に、とても多くの餌を食べます。ヘラクレスは、成虫になるまでに、腐葉土を50リットル食べると言われています。これだけの長い年月とコストがかかるため、外国産カブトムシは、プロの業者も幼虫しか販売していないことがほとんどです。

ちなみに幼虫は非常に安価で取引されているので、個人がオークションで販売しても、ほとんど儲からないでしょう。この長い年月をひたすら待てる忍耐力のある方なら、カブトムシの養殖で食べていけると思います。

熱帯魚・金魚など

熱帯魚を繁殖させて生計を立てていくのは、まず不可能です。ペットショップに並んでいる魚のほとんどは、東南アジアの大規模ファームで大量生産されたものです。ですから、これらの大量生産された魚よりも、安い値段で魚を売らなければ、どこも相手にしてもらえません。東南アジア産よりも、安い値段で熱帯魚を養殖することは、どんな方法を用いても絶対に不可能です。

しかし、高単価で増やしにくいもの(グッピーやベタなど)ならば、いくばくのお金を生むかもしれません。ただ、観賞価値の高い魚を作るためには、いい種親を仕入れることから始まります。まず、それらの愛好家たちは、コンテストで優勝するような魚を市場に出すことはありません。そして、いい種親を入手できても、いい魚を作ることは大変難しいです。

ただ増やすのではなく、綺麗な魚を作るためには、いろいろなステップをクリアする必要があります。まず、短期間で見栄えがするほど大きい体に育てなければなりません。そして、美しい血統を作るために、遺伝の知識を勉強するのは必須となります。ですから、これらの知識と経験を何年も勉強して、やっと値段が付く魚を作ることができるのです。

ですが、国内のブリーダーでも、養殖ビジネスだけでは生活できない人がほとんどです。コンテストで優勝経験があるほど著名な人でも、趣味でグッピーなどの飼育を行っている人が大多数です。

一方、コイや金魚は海外産がほとんどいないため、一見我々にもチャンスがありそうです。しかし、金魚の養殖には、池のような大型の設備が必要です。さらに、さっき説明したように、美しい個体を生み出すには技術が必要なので、個人が副業目的で行うのには向いていないと言えます。

ただ、熱帯魚も、ポピュラーな種類ではなく、マニアックな種類なら、オークションで売れるかもしれません。たとえば、一時流行したインペリアルゼブラプレコなどは、数万円で取引されていました。ですから、ブームになっている種類や、日本産淡水魚など、意外と店で売られていない種類を調べ、それらをうまく繁殖させられれば、オークションでお小遣い稼ぎが出来るかもしれません。ですが、いずれにせよ、まとまったお金を稼ぐのは至難の業であると言えます。

養殖業をしたければ、まずは実物を見てみよう!

養殖業に手軽に手を出して、失敗する人の気持ちが、私にはわかりません。私は小さい時から金魚やカブトムシなどを飼育してきました。ですから、これらを大量に繁殖させ、人様に販売して生計を立てていくということの難しさが良く分かっているのです。

きっと、養殖業にあこがれる人は、生き物のことを良く知らないのだと思います。たしかに、なんの知識もない人が金魚の水槽を見ても、水の入った桶に入れて餌をあげていれば飼育できているとしか思わないでしょう。

しかし、実際は違います。水が汚れれば金魚はたちまち死んでしまいます。ですから、ちゃんと知識を身に着け、生き物を適切に管理できなければ、養殖はおろか、ペットとして飼育することすら難しいのです。特にこれらの小動物は犬猫とは違い、融通が利きません。環境が変化すると対応できずにすぐに死んでしまいます。

ですから、まず養殖業を始めるのならば、実物を観察してみることをおすすめします。実際に飼育してみていろいろな経験を積んだ上で、ほんとうに養殖でお金儲けできるかどうか、判断されてはいかがでしょうか?

作者:青梅コウ

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